はじめに|公務員からコンサル転職で人生が変わった実体験
「公務員を辞めて転職したいけど、何から始めればいいのか分からない」 「未経験でもコンサルに転職できるの?」
このような悩みを抱えていないか?
私も数年前まで、全く同じ状況だった。仕事に直接つながらない資格の勉強をしたり、なんとなく転職サイトに登録したりするものの、結局何も変わらない日々。
しかし、コンサル転職を決意してから最初の数年で、年収450万から850万への大幅アップを実現。今では年収1000万円に到達し、忙しいながら毎日が充実している。
公務員からの転職で迷っているあなた。一度、コンサルへの転職を検討してみないか。
この記事では、公務員からコンサルへの未経験転職を成功させる具体的な戦略をQ&A形式で解説する。実際に転職を成功させた経験をもとに、あなたの疑問に答えていく。
Q1.今からコンサル転職って遅くない?2025年の転職市場は?
A1.遅くない。
確かにコンサル業界は大量採用時代を過ぎ、中途未経験採用の数は減少傾向にある。しかし、採用自体は継続しており、質の高い人材への需要は依然として高いのが現状だ。
コンサル業界が成長し続ける3つの理由
1. 業界全体の職員数は増加中 コンサルティング企業全体で職員数は増え続けている。デジタル変革や働き方改革など、企業の課題は多様化しており、専門的な支援への需要は高まる一方だ。
2. 生成AI活用でコンサルの価値が向上 「生成AIでコンサル不要論」が出ているため、今からコンサル業界に入るのには不安を感じるかもしれないが、「生成AIの発達によってコンサル企業の人員が削減される」という単純な話ではない。むしろ、コンサルティング企業は生成AIを「売る側」として、AIソリューションを企業や官公庁に提供する立役者となっている。
3. 調査・分析以外の価値創造にシフト 生成AIが得意な調査や推論はAIに任せ、コンサルは戦略立案、実行支援、組織変革など、より高付加価値な業務に集中できるようになった。
つまり、コンサル企業は逆風の中でも、自分たちの立ち位置を作って生き延びている。もちろん、業界内での競争は熾烈だが。
20~30代の「成長の場」として最適
「コンサルは今更遅い」と思う人の多くは、人が増えすぎているという情報や生成AIによる職務の代替を想像しているかもしれない。
しかし実際には、コンサル業界が目立っているだけで、ほとんどの業種が同様に変化と競争の中にある。
その中では、むしろ20〜30代にとって、コンサルは短期間で圧倒的な成長を得やすい環境だ。
- 数ヶ月単位で異なる業界・テーマの案件を経験できる(公共であれば、官公庁・自治体・準公共分野など)
- 部長・役員クラスと直接やり取りし、意思決定の現場を体感できる
- 最新テクノロジーや業界動向に日常的に触れることができる
こうした環境は、長期的に通用する「変化に対応できる力」を磨く場として最適だ。
10年後にどの業界が伸びているかは誰にも予測できない。しかし、未知の分野に素早く適応し、成果を出す力を若いうちに身につけておけば、どんな時代でも自分の市場価値を保てる。
数十年後の業界予測は困難だが、どの時代においても変化に柔軟に対応できる人材になることが重要だ。最先端情報を扱うコンサル業界は、そのためのスキルを磨く最適な環境と言えるだろう。
ちなみに、以下の画像は2025年8月に総合転職サイトに掲載されている大手コンサル企業の求人の例。
「コンサルの中途採用の枠は減ってきている」とは言いつつも、下記の応募資格のように「公共出身者」の応募は存在する。また、コンサル企業の職員数は2025年現在も増加しており、入社するチャンスは十分あるぞ。

Q2. コンサル転職の3大メリットとは?公務員との違いは?
A2. 年収・経験・転職力の3つでメリットがある。
①年収の高さ|30代で年収1000万は当たり前
コンサル業界では転職後の初任給で500~600万円程度、30代でマネージャー職に昇格できれば1,000万円も目指せる。年次評価により、毎年、数十~数百万円の昇給が珍しくない。若いうちから高年収を実現できるのは、コンサル業界の大きな魅力だ。
狭き門だが、パートナークラスまで登りつめれば最終的な年収は数千万も珍しくない。
もちろん、デメリットもある。
公務員では65歳の定年まで安定して働くことができるため、継続して高水準な収入を得ることができる。一方で、コンサルは能力主義の部分が根強く残り、多くの人は65歳まで働き続けることはできない。
また、公務員特有の多額の退職金はコンサル業界では期待できない。
②経験の濃さ|半年で異なる業界・職種を経験
- プロジェクト期間: 3ヶ月~1年と短期集中。いろんなクライアントを経験
- カウンターパート: 部長・役員クラスとの直接対話
- 社内環境: パートナーレベルとも気軽に会話できる環境
公務員では数年かけて得る経験を、数ヶ月で積むことが可能だ。
じゃあ公務員はメリットがない?そういうことではない。
最終的に意思決定をするのは官公庁や民間企業等のクライアント側であり、コンサル企業はあくまで「支援」という立ち位置となる。クライアントと業務契約を結べない限りはそのクライアントに関する業務を行うことができない。(官公庁であれば、官公庁が公示した仕様書の内容から提案して、ほかのコンサル企業等と競争した末に、勝ち取らなければいけない。)
したがって、自分の意思で国や自治体の施策を動かしていきたい!という思いがある場合には当然その当事者である官公庁・自治体の職員として従事する必要があるという点は注意だ。
③転職のしやすさ|コンサル経験は全業界で評価される
転職市場での評価ポイント
- 問題解決能力
- プレゼンテーション力
- プロジェクトマネジメントスキル
- 幅広い業界知識
コンサル業界は**離職率10%**と転職が当たり前の土壌があり、20代社員の割合も非常に高いのが特徴だ。そういう点で、転職することが当たり前の業種であり、「コンサルからコンサル」や「コンサルから民間」、さらには「コンサルから官公庁の民間専門人材」なんてキャリアパスもある。
注意点|早めのキャリア設計が重要
転職はおおむね前職年収ベースで決まるため、高年収のコンサルから他業界への転職は選択肢が狭まる可能性がある。
要するに、転職先企業に「あなたの会社より高い給料を出すからうちに来て」と言わせることが基本となる。元の給料が高いと「高い給料を出すからうちに来て」とは言いづらい。
キャリアパス(以下参考例)を早めに検討しておくことが重要だ:
- コンサルでキャリアを積む
- 民間企業の管理職へ転職
- 公務員復帰(経験者採用)
- 独立・起業
Q3. 年収は本当に上がる?残業時間の実態は?
A3. 年収は確実に上がった。残業はプロジェクト次第だ。
実際の年収推移(公務員→コンサル)
時期 | 年収 | 月残業時間 |
---|---|---|
公務員時代 | 450万円 | 40時間 |
コンサル1年目 | 650万円 | 20時間 |
コンサル2年目 | 850万円 | 15時間 |
現在 | 1000万円以上 | 秘密です・・・ |
私の転職当時の年収と残業時間を示した。これは割と一般的なコンサルキャリアの給料だ。
基本給が高く、また、みなし残業により残業代が固定的に支給される企業も多い。みなし残業は「残業をたくさんしても残業代が支払われない」悪夢のような制度と思われがちだが、残業が少なければ働いた時間より多くもらえる。
また、ボーナスは(その年の企業業績にもよるが)公務員と同等かそれ以上に支給される。
福利厚生も一般企業と同じように受けられる。
ただし、住居費は企業によって異なり、支給されない企業も存在する。
残業時間の実態
近年の働き方改革により、スタッフ層の残業は減少傾向だ。あえて言えば、残業時間は公務員と同様「プロジェクト次第」だ。
公務員だと、部署によって全く残業がない部署と月100時間残業する部署が共存している。
一方で、コンサル企業は年々残業時間を減少させようと会社全体で取り組んでいる。
また、公務員と異なり、成果に応じた報酬体系のため、効率的な働き方が順当に評価や給料・昇給に反映される。「長時間働け」という価値観は薄れ、「規定時間内に仕事を終わらせること」が優秀とみなされる環境だ。
もちろん、繁忙期は深夜まで業務を行わなければならないこともありますが、閑散期は2週間程度休暇を使う方が多い。また、リモートワークが多いため、子育てをしながら、就業時間を柔軟に設定して働いている方も多い印象だ。
ただし、少なくとも現在は働き方改革の過渡期であり、マネージャー層にしわ寄せがきているプロジェクトも多い。
Q4. コンサルの種類が多すぎる!公務員出身者はどこを選ぶべき?
A4. 公務員経験者は「大手公共系コンサル」が最適解
公務員は民間企業への転職に生かせるスキルや経験が薄いと言われがちだ。これは、公務員の仕事が誰にでもできるということではなく、公務員特有の業務やルールが多いからだと私は考えている。
ただ、公務員経験をそのまま生かす方法も存在する。それが、公共系コンサルへの転職だ。
公務員出身者に公共系をおすすめする理由
1. 経験を活かせる
公務員として培った「官公庁の内情」「行政手続きの理解」「公共政策の知識」は、熟練コンサルでもわからない貴重な経験だ。法律の読み方や、部署同士の絶妙なバランス取りを行うことは、あなたがコンサルとしてプロジェクトに提供できる価値となる。
2. 転職難易度が比較的低い
民間企業向けコンサルと比べ、公共系は公務員経験者を積極採用している。なぜなら、公務員としての業務は特殊だからだ。法律を読むこと、行政特有のルールがあることが参入障壁になっている一方で、プロジェクトの金額規模は大きく、社会へのインパクトも大きいため、コンサル企業がこぞって集まるのが公共系案件なのだ。
今後の日本の社会変化を見越して、今のうちから公共との連携を強く持ちたい企業は多いはずだ。
また、逆に言えば、「公共経験」を売りこめる転職先でないと公務員からの転職はハードルが高い。コンサル以外の転職においては、現職でのコネや業務以外の人的資本に依る場合が多いように思う。
3. 安定した需要
デジタル庁設立、DX推進、働き方改革など、官公庁のコンサル需要は拡大中だ。今後も、生成AIに関するプロジェクトや、少子高齢化への対応、ほかにもまだ見ぬプロジェクトがこれから生まれるだろう。
おすすめの公共系コンサルティング企業
公共系コンサルティングを専任している企業は少なく、基本的には大手のコンサルティング企業の公共系部門を選ぶのがベターだ。
大手総合系(公共部門) いわゆるA+BIG4
- アクセンチュア
- デロイト トーマツ コンサルティング
- PwCコンサルティング
- KPMGコンサルティング
- EYストラテジー・アンド・コンサルティング
公共特化系
- クニエ
- アビームコンサルティング
- 三菱総合研究所
- 野村総合研究所
コンサル未経験の場合、一般的な経営コンサルへの採用はかなり厳しいものと考えた方がいい。また、大手以外の企業はポストが少なく、未経験者を受け入れる素地も整っていない可能性がある。
最初から大手企業に入るのはハードルが高いと思うかもしれないが、逆なのだ。まずは大手企業の公共系コンサルで経験を積み、コンサルタントとしての基礎を積もう。
その後、自身の興味やキャリア設計に合わせて、公共系の専門家になる、戦略系や業界特化型に転換する、コンサル外の民間に転職する等がおすすめのキャリアパスだ。
Q5. 転職成功のために何をすればいい?優先順位は?
A5. 転職エージェントの登録と自己分析・経歴の棚卸しが合否を分ける。
転職成功には戦略的なアプローチが必要だ。特に1(転職エージェント契約)と2(自己分析・職務経験の棚卸)は、いますぐ・同時並行で進めよう。
STEP1: 転職エージェントとの契約(無料)
最重要タスクだ。公務員として働きながら初めての転職を成功させるなら、プロのサポートは必須だ。
詳細はQ6に記載する。
STEP2: 自己分析と職務経験の棚卸し
転職では、「あなたがどんな人間であり、どんな人生を歩んできたか。そして、これから転職してどのように活躍したいか」を売り込む必要がある。そのために「自分」と「仕事」の棚卸しが必須だ。
エージェントとの面談で、転職活動で使えるストーリーを見つけてもらうために、事前に、またはエージェントと話しながら進めよう。詳細はQ7を見てくれ。
なぜSTEP1.2が重要なのか
STEP1(転職エージェント登録)だけ:エージェントに話せる内容が少なく、エージェントからの提案が限定的になる。面接でも志望動機や自己PRが表面的な話に落ち着いてしまう。(ただし、エージェントと話しながら自分の要望を明確化することもできる。)
STEP2(棚卸し)だけ:現職が忙しくて、自分自身にあった企業の選定や転職活動の細かな事務、スケジュール取りがうまくいかず、本当であれば内定がもらえたはずの企業に入れない。
転職活動を成功させるためには、自分のことを振り返ることと、頼れる相棒(転職エージェント)をゲットすることが重要だ!
STEP3: 企業分析とケース対策
コンサル転職は主に、書類選考・面接・ケース面談の3つの試験があると考えてくれ。
志望企業の選定から面接対策まで、具体的な選考準備は転職エージェントに任せることができる。
詳細はQ7~10を見てくれ。
Q6. 転職エージェントは必須?どの会社を選ぶべき?
A6. 公務員の初回転職なら絶対に必要。2社登録がベストだ!
転職エージェントが必須な理由
1. 情報格差の解消
- 非公開求人への アクセス
- 企業の内部情報
- 選考プロセスの詳細
転職エージェントは数多くの内定者の情報を持っており、企業との独自のつながりがある。エージェントによっては、特定の企業の一次面談確約や、専用の選考過程となる場合もあるようだ。
コンサル企業は大小さまざまな業態があり、自分にあった企業を探すだけでも一苦労だ。そのため、エージェントから多くの情報を取得しよう。
2. スケジュール管理
公務員として働きながらの転職活動は、時間管理が最大の課題だ。
書類選考だけでも数十社*に応募をかけるのが基本だが、それをすべて自分で実行するのは骨が折れる。エージェントが「転職プロジェクトのマネージャー」として動いてくれる。
*希望の企業だけでなく、いわゆる「滑り止め」や「面接実践練習」のために複数応募することが多い。
3. 年収交渉
初めての転職では年収の相場観が分からない上に、これから自分が働く企業と直接交渉するのは気が引けるだろう。転職エージェントにプロの交渉サポートは必須だ。
なぜ2社登録なのか?
- 求人の網羅性:エージェントごとに得意な企業が異なる。「AエージェントはBIG4のX社との連携、BエージェントはY社との提携」のように1企業だけでは網羅できないのだ。
- 比較検討: 正直なところ、エージェントとの相性はある。エージェントの提案求人が全然自分の希望と合っていないことも・・・。複数エージェントと会話をして、どちらのエージェントにするか見定めることが重要だ。
おすすめのエージェントを紹介する。まずはあなたの現在の悩みを聞いてもらうのはどうだろう。

Q7. 自己分析と職務経験の棚卸しは何をすればいい?
A7. 「人生の目的」で自身の行動原理を言語化し、コンサル転職の必然性を作る
面接では自分が考えたことを素直に話せばいいと思っていないか。
それでは採用の確率を高められない。
面接でどのような回答が求められているのかを知った上で、自己分析や経歴の棚卸しを適切に実施しよう。
コンピテンシー評価とは
転職面接では、自身の過去の行動に基づいた「コンピテンシー評価」が主流となっている。
これは、「あなたがどんなスキルを持っているか」ではなく、過酷な環境や難しい局面に遭ったときに「あなたがどんな行動をしてきたか」を重視する面接だ。
「人生の目的」とは?
転職活動のはじめに自身の「人生の目的」を明確にしてほしい。
やり方は簡単だ。
- これまでの人生の経験を振り返る。できれば喜怒哀楽のような感情と深く結びついた経験や行動を思い出す。
- 親、家族、友人、同僚、上司、部下、学校の先生、部活の仲間、恋人、町でよく見かける人・・・。いろんな人とどのような関係をもち、どのように接してきたか。
- 上記を1枚1テーマで書けるだけ書きだして、50~100枚ほど書いてみよう。(私は50枚が限界だった)
- 複数の紙を見比べて、その内容から共通点やつながりを発見しよう。
- それがあなたの人生において、無意識に感じていた「やりたいこと」、ひいては「人生の目的(仮)」となるはずだ。
この方法のメリットは「矛盾が生まれない」ことだ。
なぜコンピテンシー評価が主流になってきているのか。それは面接では何とでも言えるからだ。
自分のいいように経歴に嘘を交えて、あたかも有能な人間に見せることが可能だ。
しかし、過去の行動や詳細、どのような考えでそれを実施したのか、その時のプロジェクトの状況の詳細などを細かく聞き出すと、嘘はばれていく。
自分の人生の経験をベースとして、「やりたいこと」「人生の目的」「御社に入社したいと考えた理由」を伝えると、面接でいいことを言おうとして、矛盾があったり、無理のある解答をしてしまったりすることを防げる。なぜなら、全ての回答はあなたの過去の行動から導いているからだ。あなたの「やりたいこと」、その「きっかけとなった出来事」、これらはどれだけ熟練の面接官(将来、あなたの上司になるベテランコンサルタント)でも否定できない事実なのだ。
面接の場では、「あなたが、あなたの人生をどうしたくて転職をするのか」を鋭く問われる場面が多い。その返答は深く練られたものでなければならない。
面接のために「作ったストーリー」ではなく、あなたの行動や感情を整理した回答であればわざわざ面接のために暗記することもなく、素直に伝えることができる。
自分の人生を問い直して、経験・行動・関係を棚卸して、あなた自身をあなたの言葉で語れるようにしておくことが重要だ。
Q8. 企業分析・ケース対策・適性試験の準備方法は?
A8. 選考の3つの柱それぞれに対策が必要だ。
コンサル選考では以下3つの試験がある。
①面接対策
志望動機の明確化
- なぜコンサルなのか?
- なぜその会社なのか?
- 公務員経験をどう活かすか?
行動面接の準備 「人生の目的」の整理を踏まえて、面接で話すべきことを整理しよう。
コンサル業界は性質や収益構造がどこも大きく変わらないのにも関わらず「なぜうちなのか・ほかのコンサル会社ではダメなのか」と問われたり、国家公務員であれば「なぜ地方公務員等の選択肢を選ばないのか」(地方公務員なら、逆に「国家公務員への転職でもいいのではないか」)のようないやらしい質問をされる。しっかり答えを考えておこう。
今なら、生成AIを使って、いやらしい・答えにくい質問をたくさん生成させて壁打ちするのもアリだ。
②ケース面接対策
ケース面接では、いわゆる「フェルミ推定」のような問題を面接中に提示され、10分程度思考した後に、その検討内容を説明する、という試験をすることになる。
また、フェルミ推定だけでなく、文書を提示され、その場で要素分解し、パワポにまとめて説明する、といった実技試験もあった。
どのような面接内容かは企業によって大きく異なり、BIG4の中だけでもケース面接の有無の違いがある。このあたりは多くの情報を持っている転職エージェントに確認することで有利に働くぞ。
練習方法
- 書籍での学習
- 転職エージェントでの練習
「フェルミ推定」や論理的思考、フレームワークの知識はコンサルになってからも持っていて損はない。というか、周りの同期が当たり前のようにこれらの知識を使っていて焦るぞ。有名どころの以下の書籍は一通り読みつつ、転職エージェントを活用して模擬面接の練習をするのがオススメだ。
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③適性試験対策
どこの企業でもいわゆる「WEBテスト」を受験することになるが、正直、対策不要だ。
主な試験タイプ
- SPI3
- 玉手箱
- GAB
- 企業独自問題
アクセンチュアやBIG4はWEBGAB形式(国語、数学、英語)が多いと思う。もちろん、私が受験した時と環境や内容が変わっている可能性があるため、最新情報は転職エージェントに確認してほしい。
WEBGABの場合、以下の書籍がオススメ・・・というよりこれくらいしか対策本がない。
そして、この書籍レベルであればほぼ満点をとれないと審査通過は厳しい。
実際に書類審査の通った数社でGABを受けたが、上記書籍はほぼ満点をとれる私でも、本番試験は全く分からずヒヤヒヤした。(なんとか通ったが。)
そういう意味で、適正試験対策はほぼ不要だ、というか対策できるものではない。おそらく、コンサル転職したいと思っているくらいの人であればパスできるだろう。上記書籍を一通り見る程度でいい。
Q9. 面接で何を話せばいい?公務員経験のアピール方法
A9. ”公務員経験を「コンサルで活かせるスキル」として翻訳”では足りない。
公務員時代の経験をもとに、「私の経験がコンサルでも生かせる」と伝えることが王道のように聞こえるかもしれませんが、それでは訴求力が足りない。おそらく、生成AIなどに相談すると上記のような解答を出してくるだろう。それが無難だからだ。
大前提として、未経験転職は「戦力とみなされない」
公務員で数年働いた経験が、そのままコンサルとしてクライアントへの価値提供に生かせる?そんな甘い世界ではない。相手にするのは、公務員歴数十年の課長・部長クラスであることが多いからだ。
あなたが戦力として求められるポイントは、単純に、①社会人としての基本が既に完成されている、②コアコンサルティングスキルが既にあるorすぐに取得できる程度のポテンシャルがありそう、③業務担当者として真剣に公務員業務に取り組んできた、の3点だ。
①社会人としての基本が既に完成されている
中途採用者の強みは、当たり前のようにコミュニケーションできること、会議をまとめ、発言できること、あいさつができることなど、「プロフェッショナル」を求められるコンサルタントとして当たり前にできてほしい行動ができることだ。これらができている人材であれば、企業としての育成コストがかからなくて済む。
逆に、これまでの経歴や、面接の中での言動で、これらがないと判断されると厳しい。
②コアコンサルティングスキルが既にあるorすぐに取得できる程度のポテンシャルがありそう
コンサルタントとしての必要なスキル(例えば、論理的思考ができること、パワポやエクセルの基本的な操作が迅速にできることなど)が既にある場合には、即戦力として活躍できるだろう。
スタッフレベルでは、「自分で課題を検討し、切り出す」の手前の段階として、「上司が切り出した課題を適切にアウトプットする」ことが求められる。これができそうか?という軸で未経験転職者は判断される。
なお、公務員はこれらのスキルが取得できる場面が少ない。だからこそ、普段から最新情報を取得していることや、スキルを習得するように行動していることはアピールポイントとなる。
もちろん、様々な企画を積極的に実施して行動してきたような方は大歓迎である。
③業務担当者として真剣に公務員業務に取り組んできた
あなたがコンサル企業に採用されて求められる一番のポイントはここだ。
熟練コンサルタントは、公務員側の役職者との関わりは多いが、業務担当者の声を聞くことが難しい。
あなたも、公務員として働きながらこう思ったことはないだろうか。
システムが刷新されたが、現場の声を全然聞いてくれないから業務に資さないものになってしまった!もっと現場の声を聞いてくれよ!
はたまた、
全然、実態にそぐわない制度を押し付けてこないでくれ。運用する側の身にもなってくれ・・・。
あなたが求められるのは、そういう「現場の声をコンサルタント側から先回りして反映させる」ことなのだ。システムを操作する職員、業務を遂行する職員が悩みそうなポイント、制度の躓きやすいポイントをコンサルタント側から公務員側に示すことで、クライアントに高い価値を提供できる。そのための要員なのだ。
あなたの経験や考え、「あなたとはどういう人なのか」を素直に伝えることが重要
面接のゴールは、面接官があなたと対話をして、「あなたが能力的にだけでなく、人間として魅力的であり、一緒に働けると思った」と面接官に思わせることだ。
そのために、これまでの経験をどのように生かせるのか、あなたがコンサル企業に転職することで企業側にどのようなメリットがあるのかを論理的に伝えることは当然重要だ。
しかし、「論理的に答えられること」、つまり、論理的思考力や説明力のような能力があることだけが伝わるのでは意味がない。そんなレベルで戦っていては勝負にならない。
どういうことか。あなたがコンサル企業側の人間に立ってみて、どんな人を雇いたいかを考えてほしい。
マスト:コンサルとして働けるスキル(コアコンサルスキル)がある
ベター:できるだけ長く続けてくれそう。変化に柔軟に対応できそう。人当たりがよく、いろんな人を結びつなげるのが上手そう。チームを明るくしてくれそう。とにかく、エネルギーが有り余っていてどこにでも顔を出してくれそう。・・・
マストの能力はあって然るべきものなのだ。「マスト部分(コアコンサルスキル)が私の強みです!」というのは、それ以外に伝えるべきことがないと言っているも同然だ。そして、この部分の能力はあなたとの対話によって面接官側が判断するものであって、あなたが積極的にアピールするものではないのだ。
面接官は熟練のコンサルタントなのだ。あなたレベルのコアコンサルスキルなんて風が吹けば飛んでいくように、脆い。
それよりも、「ベター」に例示したようにもっとあなたの人間的な部分をわかりやすく訴求しなければならない。マスト部分は正解があるが、ベター部分は明確な正解はない。十人十色だ。
あなたの中にある要素をうまく言語化して、これまでの行動や経歴と結び付けて、企業の活動やキーメッセージと結び付ける。
これができれば、「あなたが能力的にだけでなく、人間として魅力的であり、一緒に働けると思った」と面接官に思わせることできる。
Q10. 内定獲得!入社までに何をすればいい?
A10. 「円満退職」が最重要ミッション!
複数内定での年収交渉
理想は複数社からの内定だ。
今後の年収は初任給で決まってしまうので、「お金がすべてじゃない」のようなきれいごとは一旦おいて初任給アップの交渉をする。
といっても、基本は転職エージェントが全てやってくれる。初任給はあなたの現職の給料と、転職先の職位との兼ね合いになるため、①複数の内定があること、②現職の給料が高いことの2点がポイントになる。
②は今から大きく変えるのは難しいので、できるだけ今回の転職活動では①を目指そう。
なお、私は残念ながら1社のみの内定だったが、それでも公務員時代の年収450万円から、1年目650万円と十分な年収アップを実現できた。
円満退職の進め方
1. 引継ぎの徹底
公務員時代の同僚は、将来のクライアントになる可能性がある。関係性を大切にしよう。
自分の抱えていた仕事はできるだけ解消し、引継ぎも十分に時間をとって確実に業務が回るようにしよう。
よくある質問は詳細ページを確認してくれ。
(いつ退職届を出すべき?退職は誰に伝えればいい?どの会社に転職するかを伝えてもいい?)
2. 退職手続きの確認
- 退職願の提出時期
- 有給消化の計画
- 各種手続き(年金、保険等)
このあたりは、転職エージェントが整理してくれるが、所属する組織の人事担当との調整も必須となる。直属の上司に退職の旨を伝えたのち、上司や庶務担当者と協力しながら適切に事務を進めれば大きな問題にはならない。
3. 引越し準備は早めに
コンサル企業の本社は東京にあり、クライアントの多くは関東に存在する。もちろん、最近はリモートワークが主流になり、地方支社所属となることも多い。しかし、やはり案件の数が関東とそれ以外とで違いすぎる。
もし、あなたが転職を機に上京することになるのであれば、引越し準備は早めにしておこう。
東京の不動産競争はかなり熾烈で、4月など繁忙期であれば、内見している間にほかの人に物件をとられてしまう。現職の有休も有効活用しながら、余裕をもって物件を探そう。
オススメの地域は次の記事にまとめたぞ。ぜひ参考にしてくれ。(コンサルとして東京に住むならどこ?)
4. 感謝の気持ちを忘れずに
コンサル、特に公共系の場合には、人と人、組織と組織をつなぐことが重大なミッションとなる。
いろんな立場の人がいて、それぞれの思いがある中で、大きな問題を解決するために同じ方向を向いて力を合わせる。その仲立ちをする仕事なのだ。
採用してくれた企業、伴走してくれたエージェント、現職、全ての人と機会に感謝しよう。
自身の退職一つとっても、いろんな人があなたのために動いてくれて、あなたの新たな人生を祝福してくれる。
周りの方々、お世話になった方々への挨拶回りは丁寧に行おう。
私は退職する前に、現職で一番お世話になった、最初の部署の上司に会いに行き、転職することや上京することを伝えた。「また地元に帰ってきたら飲もうな!」と快く送り出してくれたことを今でも覚えている。
ここまで読んでくれたあなたは気づいたかもしれないが、この記事において、私は前職(公務員)の悪いところをほとんど記載していない。それは、「公務員」という立場が私にとって「これからも一緒に協力していくパートナー」と考えているからだ。
喧嘩別れのような形で退職してしまうと、そのような価値観を持つことが難しくなってしまうので注意が必要だ。
Q11. コンサルとして働く自信がない…不安への対処法
A11. 不安は当然。でも踏み出してよかった。
不安解消のための事前準備
不安の源は「わからない」ことだ。
「コンサルってどんなことやるか理解できてない」
ということを解消することが重要だ。
当然、実際の業務が始まるまでは、「自分が活躍できるのか」、「ついていけるのか」、「忙しすぎて寝れなくならないか」・・・と不安になるかもしれない。
まずは、コンサル関連書籍を読み、実際の業務内容をイメージしてみよう。
コンサル業界を調べるときに既に読んだかもしれないが、以下のおすすめ書籍は興味深く、実務の中でも参考になる部分が多いのでぜひ一読いただきたい。
おすすめ書籍
- 『新版コンサル業界大研究』
- 『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』
- 『イシューからはじめよ』
また、アクセンチュアやBIG4、クニエ、アビームなど、大手コンサル企業のwebサイトに直近の調査レポートやプロジェクト事例が載っている。
自身の興味があるレポートやプロジェクトを探してみよう。自分がコンサルとして働く姿を想像できるし、面接においても、企業調査をしていることをアピールできてお勧めだ。
というかマストでやろう。クライアントの基本情報や現在抱えている課題を事前調査することはコンサルとしての基本仕草だ。
失敗しても大丈夫な理由
1. 転職の容易さ
転職って意外と簡単だ。なぜならあなたは一人ではないからだ。
転職コンサルタントの力を借りながら、自分の興味のある分野へ転職することであなたの可能性を広げることができる。
また、公務員を辞めたように、コンサルも当然辞めることは可能だ。民間企業なので失業保険も受給できる可能性がある。もちろん、短期間での退職を繰り返すと「ジョブホッパー」として今後の転職に響くかもしれない。でも、若いうちに自分の可能性を試すことは大きな価値がある。
また、民間への転職を経験すれば、今後の転職のハードルはそこまで高くなくなる。(逆に、公務員歴が長い状態で「初めての転職」となるとハードルはとても高い。)
もしこのまま公務員として老後を迎えたときに、自分自身が公務員としてのキャリアを選択したことが正しかったかどうかを判断することはできない。なぜなら比較対象がないからだ。しかし、公務員、コンサルと複数の職業を経験して、公務員がよかったかどうか、コンサルがよかったかどうかを判断できる。
あなたが、「公務員のままでいいのだろうか」と迷っているということは、自分自身の能力を試したいからじゃないか。逆に、そう思っていない職員は定年まで公務員でい続けるだろう。その人たちはあなたとは違った価値観なのではないか。
自分の可能性を調べるには、様々な環境を経験してみる必要がある。
2. 公務員復帰の道
公務員は人材不足だ。というよりどの業界も人材不足である。公務員が中途採用者を雇おうと考えたときに、公務員経験があることは大きなメリットとなる。そこにコンサル経験もあるならより有力な人材とみなされるだろう。
つまり、公務員を退職しても、再度公務員に出戻りすることは可能だ。
最近ではアルムナイ(卒業生)制度、つまり出戻りを歓迎する制度もでき始めている。制度の内容はまだ未熟な部分もあるが、公務員という組織としては出戻りは歓迎だ。
コンサル業界を経験してみて、改めて自身の特性を理解したうえで公務員に戻るという選択肢はアリだ。
3. スキルは無駄にならない
コンサル業界では、(特に中途採用者は)1年目から即戦力としてバリバリ働くことになる。様々なコアコンサルスキルは実務の中で培われる。そのため、短期間で退職となっても、一通りのコアコンサルスキルは身につくことになる。身につけたコアコンサルスキルや、迅速なキャッチアップ・交渉力・業界研究などのマインドセットは今後の転職においても、当然有利になる。
私の体験談
最後に、私が公務員からコンサルに転職してよかったどうか。
公務員時代とコンサル時代の私は、別人のようだと周囲から言われる。私自身もそう思う。
環境がその人を作る、というのは事実だ。
少なくとも、私が所属していた自治体は、「できるだけ活躍しない方がいい」ような組織だったと思う。どうしても足を引っ張りあうような部分が見え隠れする。(今思えば、その中でも自分の信念に従って全力を尽くすべきだったと後悔している。)
自分が「これが正しい」、「これが市中の人々のためになる」と信じたものも、上司や組織の価値観で歪められ、実現できないようなことがなかったとは言えない。
今、従事している組織は、活躍すればするほど報酬も得られるし、「自分のやりたい仕事」ができる。自分がやりたいことをちゃんと発言して、それを形にすることができる。「自分がいいと思ったこと」を素直に仲間と議論して、よりよい方向に進めることができる。
自分が自分らしくいることを素直に認めてくれる組織だと感じる。
周りの同僚や上司は常に最新の動向をキャッチアップしていて、会話をしていて楽しい。
前職では飲み会は一次会で解散していたが、現職では終電になっても帰りたくない。
学んだ知識や資格が、業務にそのまま生かせる。
最新のテクノロジーを会社として利用できる。
そんな環境に巡り合えてよかったと思う。
また、「お金が全てじゃない」とはいえ、社会生活にはお金が必要だ。
コンサル業界がスタッフになぜこんなにも高い報酬を渡すのか。
それは、現在起きている問題・将来起きるであろうを、柔軟な発想や多様な経験によって解決するための多様な人材を育てるためだと私は考えている。
お金は「経験」に変えられる。「経験」はそのまま自身の心の豊かさに繋がる。
つまり、豊かな心を育むにはたくさんのモノ・コトを経験して、自分の感情を試す必要がある。たくさんのモノ・コトを経験するにはお金が必要だ。お金がなくても経験できるモノ・コトはあれども、お金があったほうがその自由度は当然増す。
上京して、日本一の都市がどのように形成され、どのように循環しているかを生身で体感できた。
自分の趣味に関するトップの人間と関係をもって、その哲学を直接教えてもらった。
生成AIなどの最新テクノロジーを躊躇なく課金して触れることができた。
転職していなければ、今の自分自身に出会うことは一生なかっただろう。
コンサルのリアル
今まで述べたのが、コンサル業界のリアルだと思う。
もちろん、就業時間やクライアント対応で厳しい状況に立たされることも多い。
しかし、デメリットはその程度で、メリットは余りある。
そう考えると、「転職活動をしない」という選択肢がいかに論理的にも・感情的にも誤りであるかが分かったと思う。
もう一度重要なことを整理しよう。
公務員から転職することは、公務員を否定することではない。あなたの存在を否定することでもない。
そもそも転職活動は「その業界を否定する・しない」ということではない。
あなたがその業界にマッチしているかどうかは、その業界にいるだけでは判断できない。
だから転職活動をするのだ。業界から出てみて、そして考える。やっぱり公務員業界の中がよければ公務員業界に戻る。これは可能だ。
もし転職活動で内定がもらえなかったとしたら、現職をもう少し頑張る。その期間で、転職活動中に見つけた「自分のあるべき姿」を目指す。そうすれば、次の転職活動ではそれが強みになる。
逆説的に、転職活動を通してどのような自分になるべきかを整理することができる。
何も恐れることはない。
今、あなたが公務員からの転職に悩んでいるのは、自分の能力に挑戦したいからじゃないのか。
だったら、一歩踏み出してみよう。
Q12. で、結局何をすればいいの?
A12. Q1からもう一度読み直してみよう。そして転職エージェントに登録しよう!
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